琉球弧から・2
心の平和,体の平和
天願 勇
1
1予防医
pp.183
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903213
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□自然の癒し
沖縄本島北部に希望ケ丘と呼ばれる村がある.「やんばる」と呼ぶ原生林に抱かれたこの村には,いろいろな人が訪れて来る.人生の旅に疲れ心身ともに病んだ人,生き続ける希望を失った人が自然と触れ合うことによって癒されるように設計された木造りの家がある.「うりづんの家」の亭主,近藤裕さんは,5年前,東京から移住してきた.彼は米国の病院で12年間にわたり,心理療法室長を務めたのち帰国し,イメージ療法の先駆者として活躍するサイコセラピストである.
東支那海を一望するテラスに腰をおろし,自然の中でくつろぐ近藤さんは颯爽としている.私が「なぜ沖縄に?」と尋ねると,「体と心が憩い,癒されるから」と応え,「青い海に心が洗われ,零れ落ちそうな夜空の星を眺め,島唄の哀愁に満ちたメロディを聴くと,胸が熱くなる.素朴で純情な沖縄人(ウチナーンチュ)と泡盛を酌み交わし,心を開いて語り合うなかで,見失っていたもう一人の自分と出会うから」と語った.流石,プロである.
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