Generalist and Specialist
"General"を問い直す
波平 恵美子
1
1九州芸術工科大学文化人類学
pp.495
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900855
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アメリカ留学中の1969年に長男を出産した.入院から分娩まで,2人の看護婦が付きっきりで,絶えず話しかけ,身体をなでたり髪に触ったり,また胎児の,推測される状況を,イラスト入りのカードを見せて説明してくれて,私はアメリカの手あつい医療に深い感銘を受けた.後になって,それは高額な支払いをする場合だけだと,アメリカの友人たちから教えられたけれども,それにしても実に行き届いた助産であったと思う.
いまひとつ印象に残ったのは,2人の看護婦が「私たちはgeneral nurseだ」と誇らしげに言い,自分たちの名札を私に見せて,それが何を意味するのかを説明したことである.アメリカの社会において"general"という修飾語が様々な領域でどのように使われているかと照らし合わせると,"general nurse"であることを誇らしげに告げた彼女たちの意図がよく分かった.日本では"general"と"special"がなぜか上下の関係になっていて,"special"は"general"より上位に位置づけられる傾向がある.「広い領域にわたって見渡せる」ことと「ある特定領域を深く専攻していて理解の度合いが深い」こととは本来対立関係にはない.むしろ,その双方であることが可能であるという前提に立って,研究なり実務なりを組織化していくべきであろう.
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