特集 実例に学ぶ患者アドボカシー
改めて「患者の権利」を問い直す
藤井 千枝子
1
,
谷 直樹
2,3
1慶應義塾大学看護医療学部
2谷直樹法律事務所
3賢者の権利オンブズマン東京
pp.550-556
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100735
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
日本でも,「患者の権利」と言われるようになって久しいが,最近ではいっそう,医療の内外から「患者の権利」が強調されるようになった.あるとき筆者は,「患者の権利」という言葉を聞いたある看護師が,「これ以上私に何をしろと言うの」と小さな声でつぶやいたのを耳にしたことがある.この看護師は,患者の要求すべてに応え,ナースコールが鳴り止まない病棟を走り回っている自分の日常を想起して,やりきれない思いがしたのかもしれない.
多くの臨床家は,熱心で誠実に働いているからこそ,「患者の権利」という言葉に,抵抗やためらいを覚えることがあるのではないだろうか.そこで本稿では,臨床家,とりわけ看護師にとっての「患者の権利」を改めて捉え直してみたい.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.