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書評 ─『看護教員に伝えたい学校管理・運営の知恵と工夫』─専門学校を職業教育のみならず人間教育の場としていく工夫が満載
荒川 直子
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1国立病院機構熊本医療センター附属看護学校
pp.1199
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200408
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看護師養成の歴史は,1951(昭和26)年指定規則制定に遡る。当時は,医学モデル中心の看護教育であり,看護は医師によって教授されていた。その後,第4次のカリキュラム改正を経て今日の看護教育がある。この間,われわれ看護教員は,看護師が学校長として看護学校を管理・運営し,次世代を育て上げる日がくることをどれほど鶴首して吉報を待ち望んでいたことだろう。
編著者の江川万千代氏は,昭和から平成の看護教育イノベーションにおいて,理論知と経験知を英知として先陣を走ってこられた。その英知がこの本に集約されている。この本には,看護教員自身が看護学校の経営・運営に積極的に関与することの重要性や,看護学校運営のコアであるカリキュラム,自己点検・自己評価,そして学習者である看護学生の学習権と倫理的配慮,看護教員として身に着けたい能力に関する知恵と工夫が詰まっている。思わず,「フムフム,ナルホド,ソウソウ」とつぶやきながら夢中になって読み進める。特に事例の紹介では,江川氏と共著者の鮫島陽子氏や小川恵美氏をはじめ,職員のみなさんのご苦労とあきらめない情熱と看護学生への愛情を感じる。看護教育の現実が赤裸々に記述されているが,そのなかに志と情熱を感じるのである。
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