--------------------
映評 ─『看護におけるK(危険)Y(予知)T(トレーニング)』全3巻─医療安全教育のみならず,実習前オリエンテーションなどにも活用できる映像教材
田畑 典子
1
1奈良県立病院機構看護専門学校奈良校
pp.1191
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200406
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「KYT(危険予知トレーニング)」はリスク感性を養う画期的な方略である。しかし,事例の選定や臨場感,患者の状況,看護師の判断など,教材作成に困難を極める。さらに,危険予知に必要な「状況の変化」「複雑な背景」の演出には動き,空間,時間の要素を盛り込む必要がある。『看護におけるK(危険)Y(予知)T(トレーニング)』シリーズ3巻は,精選された看護場面と根拠に基づく医療安全知識でKYTを教材化したものである。
第1巻「KYTの基礎知識」には医療現場に潜む危険要素に対する「危険予知センス」を高めることが安全な看護実践には重要としたうえで,KYTの定義と手法,実施場面が紹介されている。KYTの代表的な手法である「KYT基礎4ラウンド法」を実際に看護師間で動画事例を用いて展開している。同じ映像を見ている看護師1人ひとりの危険予知の視点の違い,確かな実践に裏付けられた「危険予知センス」,だけでなく,討議に際して「(要因)〜なので(事故)〜になる」と危険要因を具体的に表現し,対策は「危険回避行動として〜をする」という,KYTの実践ナビゲーションになる。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.