特集 グラフィック・シラバスとカリキュラム・マップ 授業とカリキュラムを「見える化」しよう!
マッピングによる看護カリキュラムの可視化
野口 眞弓
1
1日本赤十字豊田看護大学
pp.1176-1181
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200403
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カリキュラム・マップづくりに取り組む契機
2008年12月24日の中央教育審議会答申「学士課程教育の構築に向けて」(以下,学士課程答申)では,機関ごとに学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー;以下,DP),教育課程編成・実施の方針,入学者受入れの方針を明確にするよう求めている。また,2012年8月28日の中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(以下,質的転換答申)では,学士課程教育の「質的転換の始点として」学生の学修時間の増加・確保とともに,教育課程の体系化,組織的な教育の実施,授業計画(シラバス)の充実,全学的な教学マネジメントの確立が推奨された。このうち,教育課程の体系化では,大学,学部,学科の教育課程が,①全体としてどのような能力を育成し,どのような知識,技術,技能を修得させようとしているか,②そのために個々の授業科目がどのように連携し関連し合うかを示したカリキュラム・マップ,カリキュラム・チャートなどの履修系統図を示すことが求められた。
看護教育カリキュラムを作成する際には,教育課程を修了した時点で卒業生が身につけていることが期待される知識・技術・態度を行動目標として示した「卒業生の特性」1)あるいは「学習成果」2)を明確にすることが従来から求められており,学士課程答申には対応できると思えた。しかし,カリキュラム・マップ,カリキュラム・チャートなどの履修系統図を示すことが求められた質的転換答申には,戸惑いを覚えた。
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