話題 Cold Spring Harbor Meeting印象記
ゲノムマッピングとシークエンス
田中 真奈実
1
Manami Tanaka
1
1筑波大学基礎医学系
pp.99
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900889
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研究者が研究室を留守にしてまで参加したいと思う学会の必要条件は何か?分野の最高権威で(招待されること自体が自分の研究に対する高い評価で),豪華な顔ぶれが揃い,情報・技術・研究試料の交換とさらなる研究の発展(人材・研究費取得も含む)が確実であることではなかろうか。コールドスプリングハーバーミーティングは,これらの要件を満たした上に,ロングアイランドの素晴しい風光に恵まれて,分子生物学発展の生きた歴史と,現在も連綿として連なる研究所の活動とその誇りを同時進行で見せてくれる。ニューヨーク空港からリムジンで直行した研究所にそのまま1週間カンヅメとなり,早朝から深夜まで寝ても覚めても世界中の研究データに埋没することは,知恵のリンゴを好きなだけ食べてもよいといわれたエデンの原人類のような気分を起こさせる。なぜならそれは切り売りのデータではなく,その研究をした本人に会って直接何でも聞ける機会を意味するのだから。
今回第6回を迎えるこのゲノムマッピングとシークエンスは,HUGOを中心として北米欧州各国の主要研究室で推進されている全ゲノム解析型遺伝学・分子生物学の進歩の要約であり,関連分野も含めて激動する文化の中の科学の位置というものも明瞭に描出する。
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