連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 19
“なぜ”を教える医療安全トレーニング
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.1124-1130
発行日 2015年11月25日
Published Date 2015/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200392
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事例から見る現状の課題
看護学生(以下,学生)の重要な学びの機会である臨地実習(以下,実習)において,学生がインシデント・アクシデント事例発生に直接的・間接的に関与することがある。実習においては,看護師などの資格を有しない学生でも,教員や実習指導者などとともに,「ケアを提供する」「患者の個人情報を知り得る」などの体験をするため,そのプロセスにおいてインシデント・アクシデント事例の当事者になる可能性は否定できない。
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の公開データ検索1)によると,2015年8月現在,キーワード“学生”では,看護学生,医学生,臨床検査室や薬剤室で実習中の学生を含めて91件,“看護学生”では37件の医療事故,ヒヤリ・ハットが報告されていた。“看護学生”の事例への関与としては,「エラー発生の当事者」になるという直接的な関与に加えて,「エラー発生場面に遭遇する」「事例発生の発見者となる」など間接的な関与も報告されている。「事例発生の発見者となる」の例としては,無断離院した患者を院外で発見した,当該患者と異なる患者名の記載された点滴に気づく,転倒後の患者を発見した,などの報告があった。
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