特集 医療安全トレーニングをどう進めるか
KYTの実際と今後の課題
医療安全トレーニングのコンピテンシーと今後の展開―KYTからCRM,LOFTへ
石川 雅彦
1
1国立保健医療科学院政策科学部安全科学
pp.184-188
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100033
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はじめに
昨今における医療事故の増加から,事前に事故の予防策を立てておくことは極めて重要であり,医療者個々人に対する医療安全トレーニングが注目されてきている。
この医療安全トレーニングの実施にあたっては,成人に対する学習であるため,学習効果を考慮する必要がある。学習内容の平均記憶残存割合は,一方的な講義のみではわずか5%であるが,グループワークや実地修練などでは残存割合が高くなり,最も有効なのは「他の人を教える」こと(90%)とされている(図1)1)。つまり,学習を自己の学びにすること(インプット)のみならず,他の人に教えること(アウトプット)を意識することによって学習効果が大きくなり,自他ともに資することになることから,医療安全のトレーニング実施にあたっては,多職種の医療者が協働し,より身近な事例を中心とした相互学習を励行することが重要と考える。
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