連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 31
─“こうすればうまくいく”を教える医療安全トレーニング:基礎編─“教育不足”にかかわる事例発生を防止する!─事例発生にかかわる課題の見える化と未然防止対策
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.942-946
発行日 2016年11月25日
Published Date 2016/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200636
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“教育不足”にかかわる事例とその影響
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の平成27年年報1)では,2015年1月1日から同年12月31日までの集計で,参加登録医療機関からの報告で挙げられている医療事故の発生要因のなかで,「確認を怠った」「観察を怠った」「判断を誤った」「知識が不足していた」「報告が遅れた(怠った)」など,さまざまな要因が挙げられている。このうち,「教育・訓練」は,9672件中,682件(7.1%)であった。また,ヒヤリ・ハット事例の発生要因では,「教育・訓練」は,7万9361件中,2856件(3.6%)であった。
この結果をみると,教育や訓練の未実施あるいは不足(以下,教育不足)などの「教育・訓練」は,発生要因の中で大きな比重を占めているとは言えない。しかし,“教育不足”は,その結果として「確認を怠った」「観察を怠った」「判断を誤った」「知識が不足していた」「報告が遅れた(怠った)」などの影響を及ぼす可能性がある(図1)。もちろん,このように間接的に影響する発生要因は“教育不足”だけでなく,他にも複数あると思われるが,間接的な影響も含めると,“教育不足”が影響するインシデント・アクシデント事例発生における課題を明らかにすることが重要である。
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