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はじめに
都立看護専門学校は,全国の自治体の中では最も看護職の養成数が多い.戦後より看護師を目指して全国から集まった子女を教育し,都立病院をはじめ,都内の養成所を持たない中小の医療機関の約6割以上に人材を提供するという役割を果たしてきた.しかし,近年の著しい医学の進歩や医療の高度化に対応できる人材を確保するため,同一自治体に看護系大学が設立され,マンパワーの養成にも階層化が進展しているという事実を認めざるをえない.
また,高齢化による疾病構造の変化は,医療の提供方法の工夫によって今までのような看護師の絶対数を必要としなくなっており,看護職の需給バランスも均衡してきている.
このような時代背景を踏まえて,都立看護専門学校においては,再編整備計画によって学校規模を縮小すると共に,恒常的に医療現場が求める良質な実践家を養成するために,従来から行ってきた種々の方策を見直して,グレードアップをめざす機運が高まってきていた.平成14年度には11校の看護専門学校校長会メンバーが中心となって5つのプロジェクトで学校や教育のあり方全般について検討した.この中で,都議会でも質問があり,平成15年度から制度化され軌道に乗った事業の一つが「看護教員の資質向上策」である.
養成機関の種別を問わず,学生には同じ内容の国家試験を受験させ,合格させなければならない.都立保健科学大学は独立行政法人化を目指し,切磋琢磨を余儀なくされている,看護専門学校においても,とりわけ看護教員のレベルアップは極めて重要な課題となっている.
組織をあげて資質向上に取り組むことにより,教員個々人がキャリアアップを図ると同時に,現在の学校が抱える学生のレベルや教育の諸課題に迅速に対応できる層を厚くするという所期の目的の第一歩に繋がるのではないかと考える.
再編整備とプロジェクトの概要,そして特に看護教員の資質向上対策を取り上げ,看護教員の資質を向上させるための体系化の全体像を述べる.次号以降は,資質向上に関するそれぞれの具体的な事業の実践例や結果等を連載していく予定である.
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