- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
都立看護専門学校再編整備に伴う看護教員の資質向上の取り組みについて,今回は情報処理研修の概要と実施結果について報告する。
資質向上プロジェクトでは,看護教員に必要な能力を「看護能力」「教育能力」「研究能力」と規定した。新たに立ち上げた情報処理研修は「研究能力」の向上策として位置付けている。
研究業績を有することがうたわれていない看護専門学校の看護教員であっても,日常の教育活動で事象の中に隠されている真実を明らかにし,教育内容に反映させていくのは今や当然のこととされている。多様化する保健医療ニーズに的確に応えられる看護職員を養成するためには,エビデンスに基づいた看護基礎教育が重要であり,必然的に研究能力が求められる。教育活動の中に研究の要素は多く含まれ,看護能力や教育能力の向上と研究能力の向上は相互作用もあり,切り離せないものとなっている。
また,研究は看護教員の生き方に関わるものであり,研究活動を通して看護を問い,教育を問う。そのプロセスを乗り越えたときの教員の成長は著しい。
このような考えに基づいて,都立看護専門学校では9年前より研究能力向上を目的とした研修である「看護教育研究コース」を実施している。年間40日間の研究指導日を設け,大学等の研究者について少人数が受講できる。すでに修了生は50名近くにもなり,修了後は「看護研究」の講義担当,教員の研究への助言・指導的役割や,研究調査報告書の学内査読委員会のメンバーとして等活躍している。
しかし,このコースは受講生の資格要件として一定の職位以上を条件としており,毎年多くの希望者がいることから年間受講できる数は少数である。そのためもっと門戸を広げ,研究技法を学ぶ研修として設定したのが「情報処理研修」である。内容は統計の基礎知識と,解析ソフトを使ったデータの分析である。研究を進める際に教員が苦手とする統計の知識をわかりやすく,実践的に身につけられるような研修とした。教員のニーズが高いと思われたため6日間の研修のうち講義の一部を公開講座としたところ,2倍近い希望者が参加し,あらためて統計に関する教員のニーズの高さが伺われた。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.