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はじめに
都立看護専門学校再編整備に伴う看護教員の資質向上の体系化について,前号にその考え方と全体像を述べた.今回は,短期臨床研修の概要と実施結果(中間)について報告する.
多様化する保健医療ニーズに的確に応えられる優秀な看護職員を養成するためには,看護学校における看護基礎教育がきわめて重要である.看護教員は,単に教科書どおりの知識や技術の付与だけでなく,学生が看護を学ぶ過程において感じる疑問や悩みに対して,自らの体験を踏まえて,看護として深く掘り下げ,理論化して伝えることが,学生の成長に不可欠である.
このような意味で,看護教員の看護師としての臨床での経験は非常に意味深く重要である.臨床経験が長ければそれだけでよい看護教員になることができるというものではないが,臨床ブランクが長いことは,たとえ教授方法が上手であったとしても,最新の臨床における看護事象を教材として取り上げたり,今日の臨床看護現場での生きた情報を伝えにくいなどの問題が生じてくると考えられる.また,ベテラン看護教員の不安の一つに看護実践力の低下がある.生きた教育を行うためには,現場の緊迫した患者の容態の変化やその対処に敏感でなければならない.看護教員として,実践,教育,研究の統合された形で活動できることが望ましいと考えるが,現実には難しい.たとえ,看護師として看護実践も続けていきたいとしても,看護教員が実習指導以外のところで,医師のように外来や受け持ち患者をもつとか手術を行うように,直接,自分の責任において患者と接する機会はほとんどない.
こうした課題の解決に向けた新たな試みとして,専門領域の看護や技術の実践力の維持向上を目的に,短期(8〜12日間),長期(3か月間)の臨床研修が設定された.
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