連載 心一文字・11
『時』
園家 文苑
,
水戸 優子
1
1神奈川県立保健福祉大学
pp.1003
発行日 2014年11月25日
Published Date 2014/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200023
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ある夜,私は息子を寝かしつけながら,頭のなかでは仕事のことばかり考えていた。「いつまでにこれをやって,あれもやって……。ああ時間が足りない!もっとゆっくり時間が過ぎたらいいのに!」などと。ちょうどそのとき息子が「早く20年くらい過ぎないかな。(大人になって)いろんなことができるのに」と言った。
私は,時間の感じ方は子どもと大人では違うものなんだなと思いながら,息子に次の話をした。「時間の長さは人によって違うと,アインシュタインという人は言っていたよ。例えば,楽しいときは時間が短く感じ,嫌なときは長く感じるんだって」すると,「そっかー。だったら,嫌なことでも,楽しいと思えば時間は早く過ぎるんだね」と息子。私は彼の肯定的な解釈に感心するとともに,息子との会話の「時」こそ大切にしなくてはと改めて思った。
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