連載 心一文字・5
『残』
園家 文苑
,
水戸 優子
1
1神奈川県立保健福祉大学
pp.359
発行日 2014年5月25日
Published Date 2014/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102691
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看護教員をしていた教え子が突然亡くなった。亡くなる前日,仕事が過酷だったが,ようやく研究論文作成に着手できそうだから指導をお願いしたいという内容のメールをくれた。やる気にあふれたそのメールを見て私は安心し,すぐには返信しなかったのだが,次にきた連絡は,彼女が亡くなったというものだった。労いの言葉もかけられなかったことが残念だ。
彼女の夢は原著論文を書くことだった。が,彼女は焦っていたのかもしれない。時間をかけて着実に書くべきと勧めた私ではなく,すぐに論文にすることを勧める身近な人から指導を受けたいと言ってきた。私は止めなかったが,彼女と心の距離ができてしまった。その数か月後,やはり私から指導を受け,時間をかけて論文を書きたいと言ってきたのだ。そんな彼女が亡くなってしまった。
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