連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 5
未然防止の視点から何をどこまで教育するか?
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.888-893
発行日 2014年9月25日
Published Date 2014/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102830
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はじめに
看護基礎教育および臨床においても医療安全教育の重要性は言うまでもないが,医療安全教育に割くことのできる時間には限りがある。2009(平成21)年度の入学生から適用されたカリキュラム改定に伴い,新たに統合分野に位置づけられた「看護の統合と実践」に,医療安全の基礎的知識を修得することが含められた。しかし,現状では「医療安全」の科目に確保できる時間は15~30時間程度と思われる。もちろん,基礎看護学の看護技術に関わる「安全」としても,一部関連する時間もあるが,十分とは言い難い。
臨床および看護基礎教育における臨地実習においても,さまざまな状況下でインシデント・アクシデント事例が発生しており,安全で良質な医療の提供は喫緊の課題といえる。インシデント・アクシデント事例の再発防止・未然防止を図るためには,医療安全教育・研修の実施が欠かせない。医療安全管理者の配置が促進され,医療安全推進の取り組みが展開されてきたことにより,医療機関内で職員への医療安全研修実施が定着しつつある。医療安全教育実施における今後の課題の一つとして,何を教えるべきかという内容の検討が挙げられる。さらに,臨床・教育現場の限られた時間のなかで,医療安全の基礎知識として,どのような内容を,どこまで教育するか,および効率的で成果の得られる教育方法の検討が望まれる。
そこで,本稿では看護基礎教育における医療安全教育に焦点を当て,看護学生(以下,学生)の“リスクアセスメント力”育成,およびエビデンスに基づく教育内容の明確化についても提案する。
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