連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 28
─基礎編─“わからないこと”を明確にして事例発生を防止する!─事例発生に至るプロセスの見える化と未然防止トレーニング
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.684-688
発行日 2016年8月25日
Published Date 2016/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200577
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“わからないこと”に気づかないリスク
看護学生(以下,学生)や新人看護職員に,実習指導者(以下,指導者)や教員が,「わからないことがあったら聞いてください」「わからないことは確認するように」などと指導をすることはないだろうか。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の公開データ検索から抽出した事例の改善策にも,「“わからないことをわからないまま行動しない”“わからないことがあったら聞く”“疑問はすぐに聞く”“わからないことは確認する”“わからないことがあれば自己学習を行い,それでもわからなければ先輩に聞く”よう指導する」という記載もある。
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の公開データ検索で,2016年5月末現在,キーワード“わからないこと”では,70件の医療事故やヒヤリ・ハットの報告があった。これらの事例の当事者は,学生ではなく医療機関の職員であるが,事例の傾向には共通するものもあり,学生を対象とした医療安全教育の教材としても活用が可能である。
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