連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 11
患者・家族とのトラブルを未然に防止する“対話力”の育成
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.270-276
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200133
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今,医療の現場で求められている“対話力”とは
医療の現場において早急に取り組むべき課題として,インシデント・アクシデント事例の発生はもちろんのこと,苦情やクレーム,および事例発生後のトラブル発生なども増加傾向にあり,軽視できない状況になっていると思われる。
2012(平成24)年の診療報酬改定において,医療従事者と患者との円滑なコミュニケーションの推進をねらい,患者サポート体制充実加算が新設された。患者サポート体制充実加算に関わる患者・家族への相談支援の担当者として,新たに“医療対話推進者”という名称が設けられ,2013(平成25)年1月10日に,「医療対話推進者の業務指針及び養成のための研修プログラム作成指針─説明と対話の文化の醸成のために」1)(以下,本指針)が公表された。本指針において,「医療対話推進者は,各医療機関の管理者から患者・家族支援体制の調整と対話促進の役割を果たす者として権限が委譲され,管理者の指示に基づき,医療安全管理者,医療各部門,事務関係部門と連携し,組織的に患者・家族からの相談等に対応することを業務とする者とする」と記載されている。本指針には,医療対話推進者の業務の1つに,「説明と対話の文化の醸成」が示され,医療機関における説明と対話の文化の醸成の重要性と,患者・家族支援の中核を担う医療対話推進者だけでなく,医療機関の全職員にも患者・家族への十分な説明と対話が求められている。
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