第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
【柳田邦男賞】自分の心を見つめる―プロセスレコードから学んだこと
前田 美佐
1
1松山看護専門学校准看護師科
pp.714-715
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102776
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「子どもが大事な時期に,ええ年をして勉強したい?ばかなことを言うな。今もっている力で子をしっかり育てろ。」松山市にある看護学校に合格したことを報告すると,父は烈火のごとく怒った。当時,私は夫と離婚し息子・娘と大阪で暮らしていた。両親がいる高知県と隣県であるとはいえ,見知らぬ松山に引っ越すことに不安はあったが,長く夢であった看護の勉強ができることがただただ嬉しかった。反対していた父は,看護の道に進み一生の仕事にしたいと繰り返し伝えるうち「子育ても勉強も互いに言い訳にせずしっかり両立させよ」と言葉をかけてくれた。最も心配していた就職は病院で看護助手として勤務が決まり,36歳の春,子育て,勉強,仕事と三足のわらじを履き新たな生活をスタートさせることができた。
松山の中学に入学した息子は次第に欠席が目立つようになった。なんとか学校へ行かせたいと,がんばればがんばるほど心が離れていき激しく言い合うことが多くなった。息子をただ責めてばかりいた。一方で,おとなしく手のかからない小二の娘との会話は少しずつ減っていった。同じ時期に父に癌がみつかった。心配事が続き,心が折れそうになる毎日の中で臨地実習が始まった。
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