第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
伝わる言葉や方法
枽原 杏奈
1
1知多市立看護専門学校(現:公立西知多看護専門学校)
pp.716-717
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102777
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私が4歳の太郎君(仮名)と出会ったのは,小児科の実習であった。私が太郎君を受け持つ前に,一つ前のクールの学生が太郎君を受け持っていたこともあり,教師や指導者からは事前にコミュニケーションもとれ,学生の受け入れもいい,と話を聞いていた。実際にこれから受け持たせていただくことを挨拶したときも,少し照れた態度でかわいいなという印象であった。
受け持ちの初日,午前中には回診があった。胸部聴診時,太郎君は医師に対し協力的であった。しかし,咽頭視診になると,太郎君は始めしっかりと口を開けていたのだが,医師が舌圧子で舌を押さえると,泣いて嫌がる様子を見せた。私は驚いてしまい,太郎君に声をかけることができず見ているだけであった。泣いて嫌がる太郎君に,看護師が,「少し見るだけだからね」「『あー』しようね」などと声掛けを行い,診察の介助をしていた。その後,指導者からは,「あんな姿はめずらしい,機嫌が悪かったのかも」という話を聞き,そのときは,明日は回診がスムーズに行くといいなと思う程度であった。
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