第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
エッセイ部門講評●小さな気づきの大きな意味
柳田 邦男
pp.710-713
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102775
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看護学生に呼びかけてエッセイを投稿してもらい,優れた作品を選ぶ役目を引き受けてはや9年になる。毎年,応募作品の多寡にかかわらず,学生ならではのみずみずしい感性で,患者とのコミュニケーションのあり方を考えたり,患者の言葉や行動からその心模様を汲み取ったり,自分の内面を振り返って患者との関係を見直したりするなど,看護職になるうえで大切な気づきを綴った優れた作品に出会ってきた。その作業は,作家である私にとっても,なかなかに刺激的で楽しいものだ。
今年は,編集部による一次予選を通過して入選作になったエッセイは7点で,いつもより少なかったが,それら1点1点はいずれも臨地実習で患者とのコミュニケーションの壁にぶつかったなかで生まれた気づきなどを鮮やかに記している。特に前田美佐さんの作品は,公私両面で直面した苦悩としっかり向き合うなかで,人生のいわば“活路”を拓いたと言える経験をしっかりと振り返っていて,格別に心を揺さぶられた。迷いなく優秀賞に選んだ。以下に作品1作ごとに,私の感想を記していくことにする。
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