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はじめに
看護基礎教育における看護実践能力の向上を目指して,シミュレーション教育が注目されており,知識,技能,態度に優れた専門職育成の方法として,OSCE(objective structured clinical examination:客観的臨床実践能力試験)が導入されてきている。OSCEは,精神運動領域,情意領域の学習評価をするために適し,医学教育を中心に臨床実践能力を客観的に評価する方法であり,近年では,看護基礎教育にも導入されつつある。しかし,看護基礎教育におけるOSCEの方法については,十分に体系化されるには至っておらず,発展途上の段階ではないだろうか。
本学では,2009(平成21)年度までは,それぞれの看護学領域実習の前に,自己の看護実践能力について技能評価を中心に「技術チェック」として取り組んでいたが,2009年度に「看護学生のための早期離職予防シミュレーション・ナビケーター」が採択され,その一環としてOSCEを体系的に実施することになった。
本学のOSCEの特徴は,「成長実感型」と銘打っていることである。教員オリジナルのOSCE課題と,臨床看護師,標準模擬患者(standardized patient,以下SP)による教育的フィードバックで構成しており,学生も加えての4者のリフレクションにより,学生自身が成長を実感し看護実践力をより向上させることを目指してきた。学生の将来へのモチベーションを保ちつつ,主体的に学び続けるための教育方法・評価方法としてのOSCEを実施できる取り組みを模索してきたところである。
本稿では,2009年度からの本学のOSCEの取り組み過程を中心に紹介する。
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