焦点
自律的な新卒訪問看護師を育成する―看護学基礎教育と現任教育とのシームレスな協働的継続教育の提案
長江 弘子
1
,
吉本 照子
1
,
辻村 真由子
1
,
保坂 和子
2
1千葉大学大学院看護学研究科
2千葉県看護協会
pp.920-926
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102531
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訪問看護師は臨床経験がないとなれないって本当だろうか?
「新卒で訪問看護なんて無理,臨床経験が必要」「病院だって難しいのに,ましてや訪問看護は一人で何でもできなければならない」。誰もがそう思っている。確かに訪問看護師は「自律的な看護実践能力」すなわち,一人で訪問し,患者・家族の自宅という生活の場で訴えを聞き,現在の病状を判断し,今後の予測のもと,必要な医療やケアに関して患者・家族への説明と医療専門職としての責任ある対応ができなければならない。病態のアセスメント能力が求められるばかりではなく,倫理的な判断に基づいた自律的な行動が求められる。
しかし,「看護専門職としての自律的な看護実践能力」を必要とするのは,訪問看護師に限られたことではない。しかも従来から「新卒」すなわち,看護師資格を有した社会人を育てるのは,常に現場なのである。病院看護師との大きな違いは,訪問看護は自宅へ訪問するという方法を用いて,患者・家族の生活の場で看護を提供するという看護実践の場による違いである。こうした看護実践の場の違いによって,求められる能力や優先される知識・技術,看護師としての思考枠組みやプローチ方法が異なるのだと考えれば,「新卒」だからと言って病院での経験が必須ではない。保健師が新卒保健師を地域で育てるように訪問看護師になりたい新卒看護師を訪問看護ステーションで育てるという考え方はごく自然であると考える。
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