--------------------
書評 ―『基本から学ぶ看護過程と看護診断 第7版』―クリティカルシンキングを導く看護過程の指南書
本田 育美
1
1京都大学大学院医学研究科
pp.495
発行日 2013年6月25日
Published Date 2013/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102416
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
慢性疾患が増加し,在院日数の短縮化が進む近年,患者の療養生活を支援していくうえで看護職が担う専門的役割はいっそう重要になっている。さらに,多職種の協働的なアプローチによる医療が推奨され,看護師も専門職の一員として,さまざまな場面で“看護の視点からの判断提示”が求められるようになってきた。その一方で,多くの医療施設で電子カルテの導入が進み,コンピュータ内に標準化された診断名や看護計画などが取り込まれたため,十分な思考を経ずにカルテを作成できてしまう現状もある。看護師が専門職として自律的に思考し,正確な推論や診断を導くことが,ますます重要な時代になったといえるだろう。
本書は,四半世紀にわたってすべての看護師に向けて,“看護過程”という看護の視点を導くためのプロセスを,明確かつ簡潔に示してきたテキストである。改訂を重ねるたびに,看護師の臨床推論や診断的判断のスキルを高めることにも力点が置かれるようになり,前版に引き続き第7版でも,クリティカルシンキングを強化させるための工夫が数多く盛り込まれている。各章に設けられた「練習問題」をはじめ,本文中に散りばめられた「ルール」や「エキスパートからのアドバイス」といったtipsは,学生から現場の看護師まで,あらゆる読者のクリティカルシンキングを大いに刺激することだろう。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.