Scramble Zone
地域から始める精神看護学実習
新井 信之
1
1兵庫医療大学
pp.960-964
発行日 2012年11月25日
Published Date 2012/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102243
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精神障がい者に関連した学習経験
大学生は,大学入学に至るまでの小学校・中学校の義務教育,および高等学校のカリキュラムで,心の病気(精神疾患)に関する内容を学んできていない。また,精神障がい者との関わりの経験について聞くと,例えば「駅のホームで精神障がい者を見かけたことがある」というような間接的な出会いの経験をあげる学生が多く,直接的な関わりの経験は少ない。また,精神障がい者に関連する情報の入手経路は,テレビやインターネット,新聞などのマスメディアによる受動的なものが主で,その内容も身近な者からの否定的なコメントや事件報道に関連した否定的な色合いの情報も少なくないという現状にある。
看護系の大学生であっても,精神看護学の臨地実習に臨むと「精神障がい者の方と接したことが今までにないので怖い気持があります」「どのように接してよいのかわからず不安と緊張でいっぱいです」という言葉を口にする。しかし,2週間後の実習終了日には「今までの実習のなかで一番楽しかった」「はじめは非常に緊張したが,自己開示や傾聴の大切さを学ぶことができた」と語る。その学生自身の言葉で語る姿勢や実習記録の記述内容からは,多くの学びと新たな自分自身への気づきが感じられる。
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