特集 医学教育と保健所
地域保健実習を実践して
菊地 浩
1
Hiroshi KIKUCHI
1
1自治医科大学公衆衛生学
pp.106-109
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206476
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自治医科大学では,第一期生が5年生になった昭和51年から,地域保健実習を公衆衛生学のカリキュラムにとり入れ実施している.これは本学の建学の精神から,次の教育理念に基づいている.1.人間性豊かな人格の形成に力を注ぎ,真に医の倫理を会得し,ヒューマニズムに徹した医師を育成する.2.ますます複雑化する疾病構造に常に対応しうる高度な医学知識と臨床的実力とを涵養し,併せて社会医学の学習を重視する.3.医療に恵まれない過疎地域の医療に進んで挺身する気概を養成する.すなわち,社会医学の学習を重視し,臨床教育の中において,常に地域保健・医療との関連性を重視するという立場から,地域保健実習(保健所実習)が当初からカリキュラムに組み入れられたのである.
しかしながら1学年100名をこえる学生の実習を,地元栃木県はじめ近県の保健所で受け入れていただくというのは並み大抵ではない苦労をおかけすることになる.幸い自治医科大学は全国の都道府県が共同して設立した大学であるので,関係県の衛生主管部,課と各保健所の特別な御配慮を得てこの実習のスタートを切ることができた.
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