連載 「書く力」で“ステキな看護師”をつくろう 初年次から始められること・3
学習共同体を創り協働するために共有しておきたいポイント―評価規準とパラグラフを中心に
三原 祥子
1
1東京女子医科大学医学部日本語学教室
pp.510-514
発行日 2012年6月25日
Published Date 2012/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102106
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はじめに
看護師になるという目標を共有する学生たちの“学習共同体”は,学生の学びを支え促すために重要である。この学習共同体において,「書く力」の指導におけるポイントが共有されると,学生の学びは,効率的かつ効果的かつ継続的になる。たとえば教員が不在の場合でも,学生間の推敲活動が行われるなど,書くことに関する意識が高まり,その結果,技能も向上し,「書く力」が涵養される。
では,教員がどのようなことをポイントとして伝えれば,初年次の学生の「書く力」の適切な指導となり,“ステキな看護師”をつくることにつながるのだろうか。
今回は,意識化が求められる点として,評価規準とパラグラフを中心に紹介する。
評価規準に焦点を当てるのは,書いたものの良し悪しの吟味には,教員が求めていることを学生に伝え,価値観を共有する必要があるためである。学生に「どのように書いたらよいかわからない」と質問されたときに,教員は評価規準を伝えたうえで,改善点の指摘をし,期待される書き方の指導をすればよい。
また,パラグラフに注目するのは,それが1つの話題(トピック)に関する文の集まりであり,授業後の振り返りカードからレポート,卒業論文まで応用可能な基本的な単位だからである。
教員の評価規準も教員が期待するパラグラフも,入学直後の看護学生にとってはなじみのないものである。なじみのないものは,相手に明示的に伝え,繰り返し意識させ,フィードバックすることが求められる。
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