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はじめに
日本産科婦人科学会(日産婦)では1987年4月に産婦人科専門医制度を発足させた.会員への周知をはかるためホームページには「産婦人科専門医制度の概要」を毎年度更新してアップしている.専門医制度の目的として「産婦人科領域における広い知識,錬磨された技能と高い倫理性を備えた産婦人科医師を養成し,生涯にわたる研修を推進することにより,産婦人科医療の水準を高めて,国民の福祉に貢献することを目的にしている」と記載されている.
産婦人科専門医に求められる技能は周産期,婦人科腫瘍,生殖・内分泌,女性ヘルスケア(更年期やウロギネコロジー領域を含む婦人科プライマリケア)の4領域にわたる.産婦人科専門医はこれらすべての領域に関して診療を行い,必要に応じてほかの専門医への紹介・転送の判断を適切に行い,他科からの相談に的確に応えることのできる能力を備えた医師である.これらの目的を遂行し,かつ総合力のある産婦人科専門医を育成するため,日産婦学会では中央専門医制度委員会と各都道府県に地方委員会を設置し専門医および施設の認定を行ってきた.
これまでは大学医局中心に産婦人科医師の養成と専門医教育が実施されてきたが,2004年に導入された新医師研修システムにより多くの初期研修医が大学以外の市中病院で研修を開始するようになった.専門医制度委員会では専門医の教育カリキュラムの作成や専門医試験を実施しており,専門医の育成に多くの時間を費やしている.しかし,初期研修医そして産婦人科専攻医の教育が大学以外の多くの病院で実施されるようになり,専攻医指導施設の認定も重要な位置づけとなってきた.
一方,各学会が独自に専門医や認定医を認定している現状は国民からはわかりづらいことも事実である.専門医(認定医)制度の充実と発展をはかるために1981年に現在の専門医制・評価認定機構の前身である学会認定医制協議会が発足している.現在,専門医制・評価認定機構が各学会の専門医制度やプログラムを吟味し中立的立場で評価・認定作業を行っているが,専門医制・評価認定機構も各学会が資金を供出しており,厳密な意味では第3者機関とはいえない.そのため本年(2013年)度中には厚労省より資金を得て第3者機関が設立される.専門医制・評価認定機構からは基幹学会として18の専門医が認定されており,もちろん日産婦学会の専門医も認められている.しかし,今後は本年度に設立される第3者機関で認定されることとなり,専門医制度のプログラムが重点的に吟味される予定である.
産婦人科学会では新機関に認められるよう,専攻医指導施設の充実をはかるべく検討を重ね,本年度より新たな専攻医指導施設基準と専攻医の研修プログラムをスタートさせた.
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