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派遣模擬患者導入までの経緯
模擬患者(Simulated Patients ; 以下,SP)参加型の授業展開における学習効果についての研究は,1990年代後半からその有効性が報告されてきた。先行研究の多くでは,大学におけるSP導入の学習効果について報告されているが,看護専門学校でのSPの活用はまだ少数である。
本校では2002(平成14)年度から,基礎看護学看護過程の授業で,教員が看護師役,患者役を演じロールプレイを行いながら授業を展開してきた。その結果,病院環境の臨場感をもたせながら教員が演じる患者役を通して,従来のペーパーペイシェントの学習とは違い,看護師と患者の相互作用のなかで,コミュニケーション技術や知識の重要性を実感しながら意欲的に学習に取り組んでいるということが確かめられた。しかし,この時期の取り組みは教員がSP的な役割を取り,事例の場面を見せ,最後に不足情報について学生から患者役に質問時間を設けるといった形式で,学生参加型の授業としては不十分な状態であった。また,SPの「シミュレーションの訓練を受けた,対人援助技術の演習に対して協力する健康な市民」という定義からすると,本来の主旨とは違い,看護に携わっているものが患者役を演じていたため,患者側の視点としてのリアリティに欠け,限界を感じた。2004(平成16)年度に,教員が模擬患者となる看護過程演習の教育効果について評価し紀要にまとめたが,よりリアリティのある場面を提供するための教材と教育方法のさらなる検討が必要と考えた。その後,教員の知人に聖路加国際病院出身の看護師がいたことから,ライフプランニングセンター(以下,LPC)の存在を知り,2006(平成18)年度より訓練を受けたSPを導入することとなった。
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