日本看護診断学会第8回学術大会報告 看護診断と情報科学―ケアとテクノロジーの出会い
【シンポジウム】
情報システムをいかに生かすか,活用するか
美代 賢吾
1
Kengo Miyo
1
1神戸大学医学部附属病院医療情報部
1Kobe University Hospital
pp.98-100
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100147
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はじめに
情報技術(IT)の発展と情報通信基盤の整備により,情報システムはさまざまな分野で導入され,活用されるようになってきた.医療施設においても,医事会計システムは多くの診療所・病院で導入され,オーダエントリシステムの普及も進んでいる1).看護の分野をみても,看護情報システムとして,看護計画支援システムや電子温度板などの導入が進んでおり2),現在,すべての患者情報を患者単位で論理的に集約する電子カルテシステム3)との統合に向けた新たな段階を迎えている.
看護や医療分野において情報システムを活用する大きな利点は,簡潔に言うならば,看護や医療の質の向上と業務の効率化にある.病棟看護への活用では,さまざまな記録類で行ってきた転記をなくすことによる効率化,そして効率化によって短縮した時間を本来の看護に当てることによる質の向上が1つの例といえる.また情報システムを用いてスタッフ全員で患者情報を共有することは,よりよく患者を把握することを可能にし,看護の質の向上に役立つ.これは同時に,申し送り時間の短縮などの効果を生み,効率化へとつながっていく.
本稿では,「看護管理と看護診断」というテーマに沿って,まず,情報システムを看護管理や看護診断にどのように活用することが可能かを述べる.次に看護管理という視点から,情報システムを活用することで看護診断をどのように利用していくことができるかについて考える.
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