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●【主な記事】「学生のストレスと学術的成果:ホーム病院実習」から
この研究はタイトルからして興味を惹かれました。「Home Hospital Program」のことは,聞いたことがありません。記事を読むと,野球の“ホーム・ベース”(本塁)と同じような感覚で,「ホーム」病院という言葉を利用していることがわかりました。「Home」の直訳は,「我が家,自宅,本元,憩いの場,本拠など」です(広辞苑より)。この研究での“ホーム病院”とは,「実習の本拠病院」といったところでしょうか。
さて今回は,私の「博士課程学生」としてのモード・目線で,研究クリティーク(批評)の方法を取って読みました。まず『研究背景』と『研究目的』からこの研究の意義がわかります。Yuchaらによると,「看護学生の実習日数をオリエンテーションに費やすのではなく実習に利用したほうが,意義がある」とのこと。また「実習先の病院を限定したほうが,看護師となった時の評価が高いエビデンスがある」こと。それに,ただでさえ他の学生に比べてストレスの多い「看護学生のストレス軽減,そして脱落予防」に着眼してこの研究に至ったようです。ただ,こうした研修の背景は,実習先の病院を選択できる立場にある看護学校に限定されてしまいますね。おそらく地方では実習先も限定されてしまうでしょうし。考えてみれば,私の学生実習は「ホーム病院」的で,産科,精神科,地域医療以外は1つの病院で実習をしていました。それでも新実習が始まるごとに緊張したのを覚えています。病棟によって患者層が異なること,看護師さんも違うし,また雰囲気が異なるからです。けれども,たしかに実習を重ねるごとに,その病院のシステム(オーダーの流れ,物品のありか,書類,チャートの仕方,など)に慣れていました。
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