特集 PBLは報われる
PBLテュートリアル教育導入に向けての課題
井上 洋一
1
1国立病院機構米子医療センター附属看護学校
pp.1088-1091
発行日 2009年12月25日
Published Date 2009/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101359
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はじめに─導入のきっかけ
若者の基礎学力の低下や一般教養の不足,学習意欲が低下している傾向にあると言われているが,論理的・創造的・批判的思考の低さもその傾向にある。これは,高校までの受験教育やspoon feeding education(スプーンで小鳥にえさを与える式の受動型教育)ばかり受けてきた必然の結果であろう。近年,看護教育が目覚ましく変化しているなか,今の若者や社会情勢,社会のニーズに教育が変化しなければならないことは当然である。知識を伝える学習から,気づきを促す学習,学生が自ら学び取るための教育に変化していることは言うまでもない。しかし,筆者自身もその変化に対応した教育を実践できていない現状がある。Spoon feeding educationばかりの教育からの脱却とJ・デューイのいう「反省的思考」を繰り返し,問題解決していく能力を身につける教育を行っていかなければならない。また,メタ認知力を強化しなければならない。
そして,看護専門職者を育てるには,看護師等養成所の指導要領と高等教育のある種の目的を踏まえ,筆者なりの解釈で言うと,(1)知識やスキルを習得し,学び続けていこうとする態度,(2)自ら考え,自ら問題を見つけ解決し,自ら成長し続ける能力,(3)人間を幅広く理解し,共感的態度や倫理観と高い責任感を養うことだと考える。
その方策として,PBLテュートリアル教育の導入と,組織的なFD(ファカルティー・ディベロップメント)委員会を立ち上げる必要があると考えたのである。
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