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『三角繃帯用法』と『三角繃帯図附』に学ぶ三角包帯法の始まり
鈴木 紀子
1
1看護史研究会
pp.144-146
発行日 2009年2月25日
Published Date 2009/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101135
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はじめに
2008年6月21・22日,千葉県佐倉市で第109回日本医史学会学術大会が開催された。日本医史学会とは,医師・歯科医・獣医・薬剤師・看護師が,共に親睦を深めながら医療および医療保健の制度に関する歴史を研究する学会である。
私が看護歴史の中で取り組んでいるのは「陸軍における看護教育制度」についてであり,学会で発表したテーマは「兵士が学んでいた包帯法に関する知識と技術─明治7年発行『三角繃帯用法』より」である。
1874(明治7)年,陸軍文庫から小冊子『三角繃帯用法』(横9 cm×縦16.5 cm,24頁)が発行された。靖国神社内にある偕行文庫に所蔵されている古書である。読み進んでいくと,三角包帯の方法の説明箇所には「第○図と見合すべし」と書かれているが,本のどこにもその図は見当たらない。今回研究を進めていくうえで,その図とは『三角巾白布』に印刷されている絵であり,本と共に兵士に配布されたことがわかった。古本屋泰成堂書店でその『三角巾白布』は,31万5000円の高額で売られており,美術品にも値する価値が付けられている。今回,泰成堂書店のご好意で,この写真(図1)を送っていただいた。読者の皆さんにもこの素晴らしい絵を知っていただきたいと思い紹介させていただく。
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