連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・5
聴診三角と腰三角─背中にある4つのポイント
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京芸術大学美術解剖学講座
pp.335
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200970
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芸術では,人体の皮膚と皮下組織を取り除いて,筋肉を露出させたものをエコルシェ(Écorché)といいます。これは裸体で確認できる起伏がどの筋なのかを確認するのに役立ちます。
エコルシェの背中を見ると,上方は肩甲骨下角より内側と,下方では腸骨陵の上に小さな三角形の領域があり,それぞれ聴診三角と腰三角と名付けられています。これらの三角形は構造の重なりが少ないために薄く,聴診三角は聴診部位の目印であり,腰三角は腸ヘルニアのリスクのある部位です。腰三角はいつも安定していますが,聴診三角の見え方は腕の姿勢と連動して変化します。ただし,腰三角には厚い脂肪体が乗るので,裸でこれを見出すことはできません。
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