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『三角繃帯図附』のルーツを探る 第2報―陸上自衛隊衛生学校「彰古館」を訪ねて
鈴木 紀子
1
1看護史研究会
pp.792-794
発行日 2010年9月25日
Published Date 2010/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101560
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はじめに
「看護の歴史を研究しています。研究テーマは『明治の陸軍看護』です」という話をすると,「看護の歴史を研究して現代の看護に何か役に立つの?」「陸軍と看護って何か関係があるの?」という質問を返される。
私は『看護教育』50巻2号の本欄に,「『三角繃帯用法』と『三角繃帯図附』に学ぶ三角包帯法の始まり」を投稿し,看護歴史を学ぶことの面白さを書かせていただいた。史料「三角繃帯図附」は古書店で高値が付けられていたが,看護の歴史を明らかにすることの大切さを多くの方に理解していただくためには,本物を手元に置くことが重要であると考え,先日思い切って購入をした。
自宅に届いた「三角繃帯図附」は美術品に匹敵する品物で,私の手元にあることに厳粛さを感じるとともに,神様から大きな課題をいただいた気持ちである。知人から「陸上自衛隊衛生学校に同じような三角巾がある」との情報と,防衛ホーム新聞社が発行した『彰古館─知られざる軍陣医学の軌跡』1)を偶然見つけて購入し,日本の看護歴史の原点が「彰古館」にあると確信し,私は「三角繃帯図附」を携えて世田谷区池尻の自衛隊三宿駐屯地衛生学校内3階にある「彰古館」を訪ねた。そこには日本の医療史,看護史の重要な宝物が所蔵されていた。
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