連載 シカゴ通信&JNEセレクション・3
看護教員と学生の人間関係
岸 利江子
1
1イリノイ大学看護学研究科博士課程
pp.372-373
発行日 2008年4月25日
Published Date 2008/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100909
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教員として感じた困難
私は留学する前,臨床で2年間働いた後,看護大学で3年間助手を経験しました。当時,看護教員になるには最低3年以上の臨床経験が求められていましたが,急激な看護大学の増加による人手不足で,年度末も近い1月に急に話がありました。臨床を続けたい気持ちもあったのですが,勉強をし直したいような好奇心がきっかけで助手になりました。ナースとしても1人前になっていなかった自分が看護大学で演習や実習の指導をすることになり限界を感じる日々でしたが,看護の知識や技術以上に私が挫折を感じたのは,教員と学生の関係でした。
臨床ではクライエントと自分の目的は「クライエントの健康」で一致しており,そのための自分の役割はシンプルでした。しかし看護教育では,学生の成長を見たい教員としての自分,学生が担当するクライエントの利も追求したいナースとしての自分,大学と臨床実習先の調整をするコーディネーターとしての自分,と,同時に複数の役割が交錯し,教員としても社会人としても未熟だった私の技量不足が挫折感になったのだと思います。
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