特集 看護理論の構造式化・1
看護学生の人間関係について—その悩みを中心に見る
天野 隆雄
1
1国士館大学文学部
pp.555-558
発行日 1986年8月25日
Published Date 1986/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908267
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看護学生は人間関係に悩んでいる
私は現在,看護学生に対して心理学と教育学の授業を担当している.今から15年前に初めて心理学の授業を受け持つことになった時,当時のK高等看護学院(現在は看護専門学校)の教務主任のN女史に,‘看護学校での心理学の授業はどのような点に留意して行ったらよいか’とたずねた.これに対して,N主任は,‘医療の世界は今や日進月歩の勢いで進んでいるので,これをマスターするのは大変なことです.しかし,彼女らがもっとも悩んでいるのは同僚や患者などとの人間関係です.これの解決に役立つ心理学を講義してもらえればありがたい’と答えられた.
さて,実際に看護学校で授業を始めて思ったのはまさにN主任のいわれたように,看護学生たちがいかに人間関係に悩んでいるかということであった.人間は多かれ少なかれ人間関係の中で生活している.しかし,看護婦(准看護婦も)は特に人間関係のるつぼの中で生活しているといっても過言ではあるまい.看護が人間相手の仕事であり,また,看護を行う場合,必ず誰かと行動を共にしなければならない.これは看護がチームワークを必須とする仕事である以上当然であろう.また,看護の世界は女性中心の世界でもある.細かい日常茶飯事的なトラブルがおこりやすい.
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