連載 医療と社会 ブックガイド・81
『現代思想』特集:患者学―生存の技法
立岩 真也
1
1立命館大学大学院先端総合学術研究科
pp.374-375
発行日 2008年4月25日
Published Date 2008/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100910
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前回2月号「医療崩壊」の一部を紹介した『現代思想』の3月号特集は「患者学─生存の技法」。
これもよいと思う。今どき,医療や病について書かれる書きものはありすぎるほどある。医療では医療者側に寄ってしまうから「患者学」だといった話にも,すでに一定の歴史がある。けれど,それらの多くは,やはりすでに,間違えてもいないことが書かれているとしても,読む前からだいたい見当がつき,そして読んでみたらやはりそうだったというものが多い。ここに収録されたさまざまなかたち・文体の文章は,各々それぞれの方向に,それを越えている。それをさせているのは,書き手や語り手の「ぬるい」のはいやだという感じであるかもしれない。そんな呑気なことを言っている場合か,という気持ち,言うならもっと言いたい,何も考えずに嘆いてみせたりするのはいやだ,という思いだ。
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