講座
人間関係と治療看護
片岡 德雄
1
1広島赤十字高等看護学院
pp.60-64
発行日 1959年3月15日
Published Date 1959/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910818
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はじめに
「人間関係」とか「対人関係」ということばが,近頃あちこちで言われている。このことばは,human-relationsの訳で,アメリカの社会心理学の方から入つて来たものだから,わたしたち日本人の肌にピッタリこない,何かバタくさい臭いがつきまとつている。だが,人間関係という問題は,実は今に初まらない,古くして新らしい問題なのである
古い問題 話が少し突拍子もないが,プロ野球のあるティームが強いと言われるのには,ふつう3つの原因が考えられる。第1は,そのティームの打力・守備力・投手力といつた技術の問題である。第2は,そのティームの選手たちの人柄がよくなくてはならぬ。いくら優れた技術をもつた選手でも,不節制で闘志のない人柄だと,だめなのだ。第3は,いわゆるティーム・ワークのよさである。この問題は,監督1人の腕にかかわるものではなくて投手と補手,三遊間のコンビの問題から,ナイン全体のまとまり,二軍と一軍など,人と人とのすべての関係をいうのである。この第3のティーム・ワークの問題は,野球界に限らず,すべてのスポーツの世界で,昔からやかましかつた,人間関係の問題であつた。
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