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はじめに
看護教育分野におけるe-learningにはビデオ教材で手本を示したり,間違い探しなどを通して思考させ看護実践能力を高めようとするもの,国家試験問題の演習形式のものなどがある。しかし,看護教育分野におけるe-learningの普及率は1%にも満たず,導入したいとする希望は高いにもかかわらず低迷状態にある1)。
看護教育機関は,一部総合大学を除き,小規模な医療系あるいは単科大学が多いこと,看護専門学校数は多いが規模が極めて小さいことと関連があると考えられる。大規模教育機関ではe-learningやネットワーク管理の専門職員が常駐しており,Web─CTなどの導入に合わせて,それらの専門職員の助言も得ながら教員による教材開発が行われている。小規模教育機関であっても,e-learning開発業者のシステムを導入する方法もあるが,利潤を追求する業者と費用対効果やソフトの制約および予算捻出に頭を悩ます教員との考えは必ずしも一致しない。また,e-learningはコンテンツが命で,実際に講義や実習を担当する教員がコンテンツを自由に作成・改良・管理できるようにしておくことがe-learningを成功させるポイントである2)。しかし,開発業者の提供するものでは制約も多い。看護師国試問題をCDおよびオンラインで提供するタイプのソフトが市販されるようになったが,そのコンテンツ内容を修正・改良・追加できない。
筆者らは,講義や実習の進行状況や学期末定期試験などに連動して,コンテンツを教員が自由に作成・改良・追加できるようにすれば,e-learningの質が向上し,学習者の利用頻度も高まり,教育効果の上昇も期待できると考える。そこで,筆者らは,通常のパーソナルコンピュータ(Windows XP ProfessionalおよびOffice Professional)でデータ管理およびオンライン配信でき,小規模校でも費用の負担なしに利用可能なシステムの開発を独自に進めることとし,そのいくつかをすでに報告した3, 4)。
今回,筆者らが取り組んだのは,状況設定問題を作成・改良・蓄積・管理できるデータベースの開発と,その内容をオンラインで配信できるプログラムの開発である。自己学修促進を主目標にしているが,そのコンテンツを作成・管理する教員にも配慮しているのが特徴である。
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