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はじめに
学生の勉学意欲を高める目的でITを利用した様々な試みが行われている1, 2)。インターネットは光ファイバーやADSLなどにより,静止画のみならず動画や音声を容易に配信できるようになり,教育へのIT利用はコンテンツの制作と教育ソフトの開発が鍵になっている。看護教育分野でもCAI教材開発に加えて,自己学習用に国家試験問題を,市販ソフトを利用してネットワーク上に配信する試みが行われている3)。
医歯学教育では2005年からのCBT(Computer Based Testing)およびOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の導入に向け,全国共用試験のトライアルと評価が行われている4)。また,2003年8月に行われた中央教育審議会大学分科会の「薬学教育の改善・充実について」の中間まとめにおいても,共用試験の実施が検討課題とされている5)。
2004年1月には厚生労働省から保健師助産師看護師国家試験問題のWeb公募システムが導入された。2月末現在,その機能の一部はまだ未完成の状態にあるようにみえるが,内容的には上記CBTに準拠しているように思われる。
MCQ(Multiple-choice Questions;多肢選択試験)については,先行している米国および英国において,改良したEMQ(Extended Matching Questions)なども試みられている6, 7)。筆者らはMCQの欠点に改良を加えていくためにもプログラムの自作は必要と考える。
筆者らは看護教育へのIT利用を促進させる目的で,講義資料をPDF文書やパワーポイントで配信すると同時に,Microsoft Producerにより実習のプレ学習として音声・映像を学生に提供してきた。これらに並行して自己学習を促進させるためMCQのプログラムをオリジナルに開発し8),評価するとともに,プログラムの改良を重ねてきた9, 10)。2003年には共用試験のCBTをイメージした単純択一形式(Aタイプ)の問題をデータベースに保存し,学生がインターネットで利用できるプログラムの開発を行った11)。2003年秋から学内LANを介して実際の運用を行っている。医歯学教育のCBT問題作成において,臨床系の問題には画像,各種記録,イラストなどの視覚素材を付けることを推奨している。
筆者らは,同様なことが看護でも望ましいと考え,イラスト,図表などを扱えるようデータベースのフォームとサーバサイドで動作するプログラムを改良した。また,前報のプログラムは単純択一形式(Aタイプ)のものであったが11),今回それを多真偽形式(Multiple―True―False)のものも扱えるように改良した。本稿は前報の改良点を中心に記述したものである。
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