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はじめに
本協議会は,これまで助産師教育における到達目標を設定し,数年にわたり卒業時の教育到達度調査を実施し,その結果を報告してきた1-4)。論点は,学生および教員・臨床指導者から見た教育内容(認知・情意・精神運動)の達成度であり,すでに報告した結果3, 4)と比べると,総体的に学生の評価は教員よりも低い傾向が見られた。
近年,助産師教育機関は専門職大学院を含む大学院教育,大学での学部教育,大学専攻科・短期大学専攻科・専門学校と多岐にわたり,その多様さは助産師教育の命題に対する再検討の必要性を生じさせている。すなわち“助産師教育における教育のコア内容とは何か,その標準的な教育のレベルとは如何なるものなのか,時代に対応した教育とは何か,そしてどのような内容を修得させる必要があるのか”などに関する検討が求められている。
そこで当委員会は2001(平成13)年から「助産師教育のコア内容」の検討に着手してきた5, 6)。2003(平成15)年度以降のコア内容に関する卒業時の自立レベルの調査では,委員会が示したコア内容について,必要性があると認識しながらも,教育機関個々の事情により学生がすべてのコア内容を修得する機会の確保が困難なことや,6か月という時間的制約などを理由に,同意しがたいと回答を寄せている7, 8)。
昨年,本誌5月号に本協議会の亀田らが「助産師教育におけるコア内容の検討」として,デルファイ法に準じた認識調査の結果明らかになったことを報告した9)。コア内容の検討では,修得レベルの規定がむずかしいことは否めないが,助産師教育修了時において,学生の能力を保証する責務は助産師教育機関にある。当委員会の基本的考え方として,助産師教育の目標を問うために,各教育機関の教育理念や目標のあり方を拘束するものではないが,助産師の資格取得時のミニマム・リクワイアメンツ(minimum requirements)として,何をどこまで教育を行う必要があるのかを,教育の質という観点から問わなければならないと考えた。委員会では,助産師教育のコア内容についてコンセンサスを得ることを目標に,ミニマム・リクワイアメンツ設定の作業を進めてきた。本稿では,その検討結果を報告する。
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