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はじめに
Functional Independence Measure(FIMTM)は米国で開発された1)機能的自立度を計測するための評価尺度である.千野ら2)による日本語化を経て,本邦でもリハビリテーション医療の分野においてADL(activities of daily living)の評価に広く用いられている.
FIMTMは運動13項目,認知5項目,計18項目の下位尺度から構成される.それぞれの項目は1点(全介助)から7点(完全自立)で評価されるが,正確な採点を行うためには,各項目の評価に関する知識とある程度の経験が必要である.このようにトレーニングされた評価者でなくても,簡便にFIMTMを採点することを可能とするための支援ツールとして,われわれはこれまでにFIM質問紙法(図1)を開発してきた3).FIM質問紙法はアンケート形式による質問に「はい」,「いいえ」で回答するだけで各項目の得点が導かれるように設計されている.在宅要介護者を対象とした地域での大規模調査,郵送による追跡調査などにおいて,とくに有用であるが,A4用紙片面20枚によって構成されるために携帯性に欠くことと,回答の内容から得点を導く作業が必要な点で問題があった.また,採点を自動化するソフトウェアとしてHyper FIM(図2)4)を提供してきたが,プログラムの動作環境が限られていたこと,採点の対象が運動項目に限られていたことから利用上の制限が大きく,認知項目評価機能の追加,コンピュータOSの進歩に併せたバージョンアップを望む声が大きかった.
そこで,われわれはFIM質問紙法,Hyper FIMの評価ロジックをさらに発展,応用し5),オンライン採点支援プログラム「iFIM」として新たな採点支援ツールの開発を進めてきた.iFIMは汎用言語であるHTML,およびJava Scriptを利用してプログラミングされ,画面に表示される質問に対する回答のリンクを辿ることで自動的に採点が行われる仕組みとなっている(図3).Internet ExplorerTR(Microsoft社製)やSafariTR(Apple社製)などの標準的なウェブブラウザ上で動作が可能であり,また,表示領域を480×320 pointに最適化しているため,ウェブブラウザを実装した携帯情報端末(Personal Digital Assistance;PDA)でも利用することが可能である(ソニー社製PDA CLIETRへの搭載例を図4に示す).
今回,われわれはiFIMの信頼性を評価するために,トレーニングされた看護師による通常の採点との一致率を検証した.
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