EDITORIAL
コンピュータによる診断
木村 栄一
1
1日医大内科
pp.1069
発行日 1968年9月10日
Published Date 1968/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202358
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コンピュータによる診断が話題になっているが,これに対する医学者の態度に2とおりある.第1は,"コンピュータはすばらしい性能を有するから,われわれの能力を越えた診断能力を発揮するであろう"と期待している人びとであり,他は"診断は頭脳のなかの微妙な働きによって行なわれるが,かかる微妙な働きは機械をもってまねすることができない"として,否定的な考えをもつ人びとである.
コンピュータの性能を考えると,その両者とも妥当な考えとはいいがたい.コンピュータの特色はすばらしい計算速度や膨大な記憶能力にある.しかし,いかなる計算を行なうべきか,あるいは何を記憶せしむべきかということを,人間が教えてやらなければ,コンピュータはなんにもできない.
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