特集1 看護学生の論文
入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
ポイズン病棟と発展途上の僕
本多 正典
1
1博慈会高等看護学院 第一看護学科
pp.672-673
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100730
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「看護は『アート』です」─厳粛な学院長の挨拶から看護学生の生活が始まった。これまで,競泳選手として,日々,水中で過ごす時間が生活のほとんどを占め,およそ人間相手の仕事から遠かったこの僕が,2年生の夏,看護研修でスリランカに行った。
印象的だったのは毒物のために入院している人たちのための「ポイズン病棟」と,そこに入院している人々だった。農薬を飲んで自殺を図ったが死ねなかった人,農作業をしているときに蛇にかまれ足が壊死してしまった人など,なんらかの毒によって生命を脅かされている人がたくさんいた。そのなかの何人かと話をした。「このままでは,金がなくて家族と生活していけない」「足が腐って切らなければいけないが農作業ができなくなる」と,彼らは,生活に対する不安を感じて泣いていた。
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