連載 都立看学の授業研究・3
老年看護学実習におけるアセスメントツールの視点の作成と評価―「ヘンダーソンの基本的欲求」No11~14の検討
前田 恵利
1
,
久保埜 恵子
1
,
山元 和子
2
,
澤田 幸子
3
,
萩久保 仁見
4
,
樺沢 陽子
5
,
江戸 清子
1
1東京都立北多摩看護専門学校
2東京都立荏原看護専門学校
3東京都立南多摩看護専門学校
4東京都立板橋看護専門学校
5東京都立府中看護専門学校
pp.1146-1150
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100555
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はじめに
高齢者ケアの目標を,鎌田1)は「高齢者が生の完成をめざして,人生の最終段階である老年期を健やかで,自立した,生き生きとした快適な生活ができるように援助をすること」と述べている。われわれもこれにしたがって,老人看護学実習では,対象を生きてきた過去を含め,全人的に捉えることをめざしている。
老年看護学実習での情報収集のツールとして,ヘンダーソン看護論の基本的欲求(日常生活行動)14項目2),具体的には秋庭・江崎ら3)の「基本的看護(基本的欲求)の充足した状態および情報収集項目」を用いている。この理由として,「看護を初めて学ぶ学生にとって,用語の概念が理解しやすい」4)という,学生にとっての使いやすさがあげられる。
ヘンダーソンの基本的欲求14項目の中でも,特にエイジングの多様性に着眼し,老年者を全人的に捉えるためには,「No11 自分の信仰に従って礼拝する」「No12 達成感をもたらすような仕事をする」「No13 遊び,あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する」「No14 “正常”な発達および健康を導くような学習をし,発見をし,あるいは好奇心を満足させる」の部分の記載内容の充実と収集した情報の活用が重要である。今回は,学生の記録の記載内容を充実させる手立てとして,No11~14の情報収集の視点を具体的に明示することを試みた。すなわち,アセスメントツールの視点の作成である。
本稿では,この「アセスメントツールの視点」作成のプロセスを紹介し,老年看護学臨地実習前に学生に提示し,使用した学生の反応からその有効性について述べる。
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