Japanese
English
論述
アルコール欲求に関する研究
Craving for alcohol
飯田 正一
1
Shoichi Iida
1
1北海道大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Hokkaido University,School of Medicine
pp.191-197
発行日 1964年8月15日
Published Date 1964/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902583
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序
薬物嗜癖者においてみられる薬物に対する異常な欲求の原因を明らかにするためには,一方ではそのような薬物のもつ特異なる作用を追求するとともに,他方ではその背景をなす素因あるいは感受性(susceptibility)といつたものを生体の側から明確にする必要がある。ことにアルコールの場合には麻薬とはことなり,これを愛用する非常に大勢の人々のうちの限られた者のみが,それもふつう10年から15年間の飲酒歴ののちにアルコーリズムになる。そしてつよくアルコールを求め(inability to abstain),あるいはその飲み方が特有でいつたん飲みはじめると泥酔して飲めなくなるまでやめない(loss of control)のである8)。
それゆえアルコーリズムの場合は麻薬嗜癖の場合にくらべ,素因がより重要な役割を演じていると考えられている。素因は精神的因子と身体的因子の二つにわけて考えることができる。前者に関してはアルコーリズムを社会,経済,心理学的に研究した結果,アルコーリズムは精神的欠陥と関係があることがわかつた。一方後者は素因を動物実験によつてphysical basisで解明しようとするもので,いろいろと興味ある成績がえられている。
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