連載 かれんと【新連載】
子どもの"攻撃欲求"
汐見 稔幸
1
1東京大学教育学部
pp.1
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901936
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小学生の頃,私はよく近所の川原で向こう岸めがけて小石を投げて遊んだ.大きくなるにつれ距離が伸びていくのが確認できるので,遊び場としては最上級のものだったように思う.木ぎれのバットで小石を打って飛ばすこともよくやった.おかげで学校で野球をするときはいつもエースで四番だった.
でも,改めて考えてみると,人間はなぜモノを投げたり打ったりしたがるのだろう.小学生の頃,もし石投げや石打ちという遊び文化(野球がモデル)がなかったなら,おそらく別の遊びを考えて,同じようなことをしていたと思う.川面に薄い石を投げて水面をはねるように飛ばす遊びなども,どこの子もやっていたのではなかったか.ともかく,少し以前までは,子どもはモノを投げる,人と格闘する(すもう,レスリング……),ケンカ寸前のとっくみ合いをするといったことは日常的にしていたように思う.とくに男の子はそうだった.
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