特集 看護の歴史はおもしろい 語り継がれる人と時代
第2部 先達に学ぶ
アメリカで看護を実践してきた住吉蝶子が伝えたい看護
大石 杉乃
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
pp.1012-1019
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100530
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はじめに
アメリカで看護を学びたい,働きたいという日本人の看護師注1)は少なくない。今まで,何人もの看護師がアメリカで教育を受け,看護師資格を取得し,研究を行ってきた。しかし,その多くは日本を活動の場に選んだ。アメリカで活動を続け,実績を残した数少ない日本人看護師の1人が住吉蝶子である。
28年間アメリカで活躍し,日本の看護界に復帰した住吉は,学校法人慈恵大学の客員教授として東京慈恵会医科大学附属病院の看護部をサポートしながら,プロビデンス病院(Providence Hos-pital)を拠点にアメリカでの活動も継続している。
住吉にとって看護の基盤はあくまで臨床であり,“生きた看護”を重視している。住吉は今,現場で働く日本の看護師に勇気を与え,その能力を高めることを何よりの楽しみとし,看護師や看護学生にアメリカで学ぶ機会を与えている。
本稿では,住吉へのインタビューを中心に,住吉の看護観が形成された過程を振り返り,アメリカでの活動と実績を分析し,住吉が日本の看護師たちに伝えようとしている医療と看護を紹介しようと思う。
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