欧米病院偏見旅行記・11
アメリカ看護への疑問—アメリカにて(その3)
pp.51
発行日 1968年11月1日
Published Date 1968/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203492
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アメリカの病院で目をうばわれたことはいくつかあったが,そのなかで最大のものはやはり驚くほど高い医療費であった。そしてその最大原因はいうまでもなく人の多さにある。急性一般病院では,人院患者100人あたり平均で250人という。わが国はご承知の通り,100床で65人にすぎない。
この多さの中でひときわ目だつのは,看護部員である。ボストンのハーバードの産科病院で178床で実に300人,シカゴ郊外の地域病院の35床に420人,ロスアンジェルスの郡立病院2300床に2800人と,ベッド数と同じかそれ以上である。患者4人に1人という規則の国からは,まことにパラダイスであろう。さすがにわが国の看護が占領軍の影響もあって,模範としてきたアメリカだけのことはある。考えてみると,患者の頭数で看護要員数を決めるというのはむちゃな話である。どの病院にも同程度の看護サービスを必要とする患者が均等に来院するというのであろうか。
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